「悪の階段」鈴木英夫 (Steps of Evil, Hideo Suzuki)  


監督・脚本:鈴木英夫
撮影:宗倉泰一
山崎努、西村晃、団令子
東宝、スタンダード、104分
団令子の人生をとうに諦めたような生気のなさが、B&Wの見事な照明、スタンダードのアップ気味の構図と相俟って美しく輝いた。山崎努のぬぼぅっとした暗さと殺意はまるでロバート・ミッチャムのようだ。首を絞めたり、狭いところで口づけを強要したり、切迫した画面は、スタンダードサイズによってさらに息苦しさが増す。強盗4人組が仲間割れで人数が減ってゆくごとに、西村晃がそのダークさを徐々に増してゆくという深みのある展開力に唸った。やはりこの時代の東宝は、中堅どころの俳優が素晴らしい。「非情都市」もそうだが、鈴木英夫は怯えた人間の無表情を撮るのが非常にうまい。

Atsushi Funahashi 東京、谷中に住む映画作家。「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48(公開中)」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(2006、主演オダギリジョー)「echoes」(2001)を監督。2007年9月に10年住んだニューヨークから、日本へ帰国。本人も解らずのまま、谷根千と呼ばれる下町に惚れ込み、住むようになった。

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