77分 1957 日活 NFCにて
長距離移動のバスで起きる群像劇は、例えば清水宏「有難うさん」など いろいろ思いつくが、ステージコーチものがその発端なのだろうか。スクリーンプロセスを利用した車内撮影と、実際のバス内でのロケ撮影が混ざっているせいか、座席の奥行きが深くなったり、いやに浅くなったりするのが面白い。乗客が画面にひしめき合うように押し込められていたかと思うと、トラッキングショットにより奧まで各々が別々に座っていたり、また急患の赤ん坊が出たときなどバスの最奧部が座席が取り払われたかのようなオープンスペースとなり、元医者の護送犯が床で診察できたりする。
移動するバス内の空間が自在に伸縮するさまが、まさに鈴木清順の世界!