レオノール・セライユ 97分 2017
@Institute Francais カイエ週間
精神が破綻し、壊れてしまった「若い女」が、その内実の全てを暴力的なまでにレンズにさらけ出し、熱量と感情と、そして同時にウィットに満ちた視線を見る者にぶつけてくる映画といえば良いだろうか。
J. キャサヴェテス「壊れゆく女A Woman Under the Influence」のように、包み隠さず、内面の揺れと葛藤をすべてこちらにぶつけて来る女性と向き合う我々は、女性がたとえ一歩も前進しなくても、とことん付き合うしかないと腹を決めるしかない。そんな濃密な覚悟へと見る者を引き込んでしまう磁力を纏っているという特別な作品。
主人公のポーラ演じるレティシア・ドッシュLaetitia Doschが傑出している。
最初は、ぶち切れて何度もドアに顔面を打ち付ける、狂ったブスという印象から、徐々にその荒くれた内面と知性が両立していることを気づかせてくれるという深み!
作家とレティシアが台本と演技に込めたあまりの熱量、彼女の吐く言葉の渦に圧倒されるしかない。傑作!