プラハ国際映画祭2010  Praha FEBIOFEST DAY2


朝、目が覚めてテレビをみると、CNNでモスクワで地下鉄テロがあったらしいとのこと。東京の地下鉄サリン事件を引き合いに出して事態の深刻さを伝えていた。コーカサス地方チェチェンの反政府組織によるものとの疑いらしい。空港でも発着便の制限が設けられたということで、これで昨晩モスクワに残された自分の荷物はプラハにまず来ないな・・・と。
映画祭側に話してみると、みなさんパニック状態に。プラハからモスクワへと電話を駆使して、なんとか荷物を探そうと尽力してくれる。それもそのはず、今晩上映予定の「谷中〜」のDigiBeta がLuggage の中に入っているからで、映画祭側としては日本から来たFilmmakerはこの際どうでもよく、チケットセールス(満員御礼とのこと!)をやった映画が上映キャンセルになる方が大問題らしい。上映スタッフが混乱を極める中、元Karlovy Vary 国際映画祭のプログラムディレクターで、EHOCES, BIG RIVER とずっと拙作を招待してくれたStefan & Hana Uhlik の夫婦(今はこの映画祭のディレクター)は、慣れたもので Atsushi が来ると、毎回何かがなくなると、ビール片手に爆笑している。横には、Gasper Noe がいて、カタログの僕の年齢がおかしい(1963年生まれとのこと、11年も間違っており、これはワールドプレミアの時に誤植を出したベルリン映画祭の功罪。いまや僕は国際映画祭サーキットでは47才ということになっている・・)とか、Gasper の東京で撮った新作”Enter The Void ”の作曲家の表記が間違っているとか、カタログにケチをつけてゆくゲームに巻き込まれてうやむやになっているうちに、なんと事務局チームがロシアから僕のスーツケースを発見。上映1時間前に、プラハ空港から輸送してきた。驚愕のチームワーク。
お陰さまで満員の上映は首尾良くいって、上映後のQ&Aは、予定をオーバーして45分も話し込んでしまった。

そんな中2本の映画を見た。”State of Dogs”  (Belgium, Mogolia, 1998, Peter Brosens & Dorjkhandyn Turmunkh)は、パゾリーニ的な支離滅裂イメージ・ポエム。身体がぐるりと180度以上曲がるモンゴル曲芸少女と、射殺された野良犬の生まれ変わりを出産する女性(?)のモンタージュは前代未聞で、忘れろというのが不可能な映像。Hadewijch (France, 2009, Bruno Dumont) は、相変わらずショットは傑出しているが、なぜか好きになれない作家である。今回は、Bresson の「罪の天使たち(Les Anges du péché)と「少女ムシェット(Mouchette)を合わせたに間違いないと思う。

Atsushi Funahashi 映画作家。「過去負う者」「ある職場」(東京国際映画祭2020)「ポルトの恋人たち 時の記憶」(主演柄本佑, ロンドンインディペンデント映画祭最優秀外国映画)「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(主演オダギリジョー)「echoes」を監督。著書に「まだ見ぬ映画言語に向けて」(吉田喜重との共著)A Tokyo-based filmmaker. Directed “COMPANY RETREAT”(Tokyo IFF), "LOVERS ON BORDERS"(Best Foreign Future LONDON INDEPENDENT FF 2018), "NUCLEAR NATION I&II", "Big River"(all premiered at Berlinale), "echoes". His book include “Undiscovered Film Language” (Co-written with Kiju Yoshida).

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